[エッセイ]文句も言えない小心者のスピリチュアル体験記

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バラエティ番組で、

「嘘の占いや催眠術にかかっているフリをするかどうか検証するタイプのドッキリ」

が行われることがある。

 

例えば、

「めちゃくちゃ当たると話題の占い師が占った結果がまったく外れていたら、きちんと全然違うということを伝えるか?」

とか

「催眠術がまったく効いていないのに、番組のために効いているような演技をするか?」

など。

 

タレントたちはとりあえず引っかかったふりをして大げさに驚いてみせたり、

催眠術がかかっているようなマネをする。

客観的にそんな滑稽な姿を見て、番組は盛り上がるという方式だ。

 

私がもしこういう状況に置かれたら。

間違いなく、引っかかったフリをするだろう。

(なんじゃこら)

と思いながら、それでも思いっきり騙されたマネをするだろう。

 

実際に前科があるので、確実にそうなるだろう。

 

 

 

最初は、中華街の街角での占いだった。

 

人間関係というか、痴情のもつれ的な悩み事があった当時。

考えすぎて吐きそうで、

とりあえず海でも見よう、とふらふら山下公園をうろついていた。

 

山下公園まできたら、中華街はすぐ近く。

一杯くらい飲んで帰るかな、と思いを巡らせる中で、ふと、「そういえば占いってしてもらったことないな」と気が付いた。

もう自分では思い切り悩んだから、あとは他人の意見と言う名の天命に任せるのもアリなのかも。

そうだ、それしかない!

思い立って、すぐさま中華街に向かう。

 

 

とはいえこの界隈には異常な店舗数の占いがある。

 

さらに手相占い、姓名判断、占星術・・・・・・

と様々な占い方法があって迷っていたところ、

パッと私の目を引いたのは

「スピリチュアル占い」だった。

 

なにそれ?

と思った。

 

スピリチュアル占い?

え? 霊感をつかって、なにするの?

 

しかも、他は女子が群れてるというのに、そこだけ妙に閑散としている。

覗くと、どぎつい黄色のスーツを着たおばさんが、ヒマそうに手鏡を見ながら口紅を塗り直していた。

IMG_6311こんな感じの人。

 

いや、さすがにここはダメ!

 

と思いながら、それでも少し気になって店舗前に掛けられた占い師の紹介文を読む。

演歌歌手みたいな笑顔で着物を着た占い師が「開運数珠」を手に微笑んでいる。

おまけに書籍も発売中!ときた。

とても商売っ気がある。金の亡者な雰囲気がぷんぷん。

 

うわ~、ぜったい胡散臭いやつだよこれ

 

頭では理解しているのに、

なのに、ここで、こういう妙なやつに魅かれてしまうのが私のいけないところだ。

 

わかってる。

わかってるけど、まぁ、とりあえずスピってみようじゃあないの・・・

 

と恐る恐る、狭い店内に入った。

本来の目的である占いよりも、あなたのスピリチュアルどんなもんだという好奇心が勝ってしまった瞬間である。

 

結局このスピリチュアル占いというのは、

生年月日もなにも聞かず、

ただおばさんが目を瞑り、天から降りてきた言葉を自動手記として紙に記していき、

なんだかまとまりのつかないお言葉を述べるという手法のものだった。

 

カッと目を開ける。すらすらと字を書きだす。

昔やってたドラマの「トリック」を思い出した。

 

「あなた兄弟がいる? その子と仲がいいのかしら。

婚期が送れることを心配しているわよ」

 

「へぇ~なるほどね~!」

 

残念ながら、私は一人っ子である。

 

「友達はそれなりにいるけれど、いつもどこか寂しいなって思っているのね」

 

「そうですねぇ~!(それわりと誰にでも当てはまるよね~!)」

 

まるで自分の聞きたいことも聞けぬまま、

しかもおもいっきり暴投したような占いをされたのにも関わらず、

私は「当たっていない」とは一言もいえなかった。

むしろ「当たってなくて逆に申し訳ない」「わかりにくい人間でさぞかしやりにくかったろうに・・・」

みたいな気分。

 

むせかえりそうな占い師の化粧品の匂いだけが記憶に残った、

にが~い占い初体験であった。

 

 

もうこういった類のものはやらないようにしよう。

最初から関わらない!

 

 

そう誓った数年後だった。

私はまた過ちを、それも前回よりもわけのわからない過ちを犯してしまうのである。

 

 

その時も私は吐き気を催すほど悩んでいた。

探偵をやめてしばらくニートになろう!と決断したのはいいものの、

「まぁいいやどうせ実家暮らしだし」と「いや、やはり社会的底辺感がぬぐえぬ」

という気持ちの狭間でグラグラ悩んでいた頃であった。

 

一度、脳みそ取り出してクリアにしたいな。

そう思っていた。

 

そんなときだった。

たまたまフェイスブックでシェアされてきた記事に目がとまった。

 

「アクセスバーズ・・・?」

 

生まれてこのかた聞いたこともない言葉だったが、

その謳い文句に私は目を剥いた。それはまさに、今の私が求めていたものだったのだ。

 

「脳のデトックス。最低でもマッサージを受けたような爽快感、最高で人生が変わる体験!」

 

どうやらそれはセラピーの一種で、脳のポイントを押さえて気の流れをよくするものなのだそう。

どういう原理になっているのかはよくわからない。

宇宙!とか、壮大なパワー!とか、怪しい文字が躍っているがそちらのほうは見て見ぬふりをした。

 

なにをするかは理解できないけど、そのときの私にはぴったりだった。

「脳のデトックス」「脳の断捨離」

ぐちゃぐちゃした脳を整理したい!

 

その思いだけで予約をし、私はその謎のセッションとやらに向かったのだった。

 

電話で案内されたのはライオンズマンションの一室だった。

大丈夫かな……と急に不安になる。

もし謎のセッション中に襲い掛かってきたら? いざとなったらどうやって戦うかを想定しながら部屋に入る。

密室に入るときの私の警戒心と戦闘能力は非常に高まっている。

 

施術してくれるのは優しそうな女の人だった。

部屋の中央にはエステの時に使う簡易ベッドだけが置かれており、

殺風景な印象。

 

問診票みたいなものを書き、簡単に説明が行われる。

 

「これから90分のセッションをおこないます。

目を瞑ってもらい、私は脳の32カ所のツボを押さえて気の流れをよくし、情報で溢れた脳の疲れをとっていきます。また、よい考えが閃くようにも導きます」

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そういって部屋を暗くし、ヒーリングミュージックを流す。

ベッドに仰向けに横になると、さっそく彼女は頭に手を置いてセッションを開始した。

 

すごく良い反応がある人だと、

頭を触ってもらうだけで涙が溢れたり、光が見えたり、脳がすっきりと休まる感覚があったり、起きているのに夢を見ているような気分になったり、不思議な体験ができるらしい。

 

しかしながら私は、ただひたすら「頭を触られてるな~」という感覚しかない・・・

いやこれ、ほんとにそんな体験できるの? まじで言ってんの?

 

 

それでもお姉さんは素敵な笑顔で

「どうですか~?」

と訊いてくる。

 

「ん~なんかいい感じです~泣」

 

お姉さんが悲しむかもと思うと、小心者の私はなんもねーよ!とは言えず、

それだけではとどまらずに「身体がふわふわしてきました・・・」

とか適当な発言までかます始末。

なんで私が気を使ってんだ。

 

そうでしょう? とドヤってるお姉さんを見て、

「本当のことをいうのが本当の優しさなのだろうか?」

としばらく考え込みました。

そんなわけで全く脳は落ち着いてくれません。

 

あれこれ考えて、必死でなにかを得ようとしている間に90分が経ち、

セッション終了。

 

「どうでしたか? すっきりしました?」

 

「はい・・・なんだか少し頭が軽くなって気がします」

 

自分にそう言い聞かせると、そんな気もしてく・・・るわけがない。

申し訳ないが、私はアクセスバーズには合わない体質だったようだ・・・

 

結局私はこの謎の90分に1万5千円支払った。

外に出ると、真っ暗な部屋にいたからか、やけに空が青々と明るく見えたが、

それはセッション云々関係ないだろう。

 

ニートでも大丈夫かどうか、という私の悩みはもちろん今回のセッションでは解決せず。

むしろニートになるというのに1万5千円もの大金を払った自分の愚かさに自らを殴りたくなった。ほんと高い勉強代である。

 

しかもその悩みというのも、その後すぐに始まったニートアニメ「おそ松さん」を偶然見たことで、

「ニートでいいんじゃね!!? ゴミ虫でいいんじゃね???」

と楽天的ニート思考を得ることができ無事解決するに至った。

まさかアニメに救われるなんて。本当に必要のない90分だった。

 

まぁアクセスバーズの効果は人それぞれみたいなので、

私の場合は、たまたまうまくいかなかっただけかもしれないし、

興味があったら調べてみてね。意外とあなたは、宇宙と繋がってる側の人間だったりして。

 

さすがにもうこういうものに首はツッコまないようにしたいのだけど、

またなにかやって失敗しそうである。

 

そのときはここでネタにするので、

またやってんなぁ、と笑ってやってください。

 

エッセイ

Posted by ayapan