[映画]昼顔

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[あらすじ]
夫のある身で、妻がいる裕一郎(斉藤工)を好きになってしまった紗和(上戸彩)。
不倫関係が明るみになり、二人は愛し合いながらも別れることになる。
そして、その三年後。離婚をした紗和はひとりで海辺の町で暮らしていたのだが、あるとき、思いがけず再会をしてしまい、
二度と会わない約束を破ってふたたび禁忌を犯してしまう――

125分 日本  2017.6.10~ 現在公開中

 

「マディソン郡の橋」という映画をご存じだろうか。
不倫賛美をしているとして賛否両論ある不倫ものの代表作ともいえる作品で、不倫の恋に悩むヒロイズムが炸裂しており、「旦那がいるけど素敵なあの人に恋をしてしまう辛い自分」みたいなものを純愛っぽく描いている。断っておきますが大好きな映画です、ほんとに。

そして、「君に読む物語」。
ラ・ラ・ランドで人気不動となったライアン・ゴズリング主演の恋愛映画で、めちゃくちゃ純愛みたいな立ち位置の作品として有名だけど、
これだって話の内容としては「最高のフィアンセがいたのに元彼と再会して浮気してしまい、結果よりを戻す」物語だ。そんな裏切りをしておいて、この二人はがっつり幸せになる。純愛なのか首を傾げるような内容である。断っておきますが大好きな(略

 

他にも「愛の流刑地」「失楽園」など、不倫映画は数々あるが、
「不倫は悲しいけど純愛」みたいな、「結ばれないふたりが切ない」みたいな、
そういう奇麗な内容が多い。
少なくとも私の不倫映画のイメージはそうだった。

 

そうやって美しく不倫を描いた作品が嫌いだった人。不倫する人なんてバカなんじゃない、と毛嫌いしている人。

こういう人にこそ、映画「昼顔」は観てもらいたい。

 

 

ちょうどドラマ版を放送していた頃、私はまだ探偵社で働いており、
現実の不倫なんて、調査で毎日腐るほど目撃していた。

奥さんの出産準備中に浮気をする夫はもちろん、曜日ごとに女を変えて浮気している旦那、
ネットゲームで知り合って不倫を繰り返す妻などなど。
クズは世の中にたくさんいると思い知った。

いろいろ見たけれど、中でも一番覚えている案件はもっとシンプルな不倫で、
小学校の先生同士のW不倫だった。

彼らは朝早くに駅で待ち合わせ、動物園に行った。
楽しそうに二人でひとつのソフトクリームを食べ、時々手を繋ぎながら、夕方、彼女の自宅付近まで送り、少しだけ触れ合うようなキスをして別れた。

何日尾行しても、そういう同じような映像が撮れるだけ。
不倫の証拠としては不十分ということで、調査は終了した。
この報告書を見たら奥さんは辛いだろうな……と思いながら、画像を確認しながら結果報告をした。

案じた通り、奥さんは号泣。

「なんでこんな幸せそうなのよ……」

彼らはただ一日、幸せそうにデートをし、高校生みたいに顔を赤くしてた別れた。
単純にホテルに入ってくれたほうがよっぽどいいのだ。

 

ロバートデニーロとメリルストリープの不倫映画「恋に落ちて」でも、同じような場面がでてくる。

奥さんに詰め寄られたロバートデニーロが、
「彼女とはまだ体の関係はない」と言って不倫を否定するのだけど、それに対して奥さんが、
「その方がよっぽど許せない」といって泣く。

身体よりも、心を奪われてしまう方が立ち直れないほど辛いのだ。

 

本人たちは純愛をしている気になって楽しんでいるが、楽しめば楽しむほど、周りの人間の心を傷つけている。
映画みたいに幸せになるなんて、そんなことは許されるはずがないのだ。

 

映画「昼顔」では、不倫をした二人の周りにいる人間をしっかり描いている。
不倫は二人だけの問題ではなく、いろんな人を巻き込む最低の行為、という基盤ができていて、その罪を受け止めながら肩身狭く生きていく姿がすごくリアルだ。

 

単なる不倫を美化した純愛風映画ではない。
昼顔では衝撃のラストが待っている。
だいたいこうなるんだろうなぁ、という予想はできていたのだけど、それでも、現実より残酷といってもいいようなラストは判っているのにやはり衝撃的だった。

久々に映画館で号泣した。悔しかった。

ドラマ版を見たことがなくても、この映画から楽しめる内容だと思う。
不倫映画が嫌いな人にも観てもらいたいけど、
やはり一番これを観てもらいたいのは、世の中の不倫している人たち。

これは、そんなあなたにとってホラー映画ですよ。